都知事選終わりましたね。
私は埼玉県民なので投票権はないのですが、東京都で仕事をすることは多いわけで他人事ではなく、非常に興味深く経緯を見ておりました。
私は今回の候補者の中では、石丸さんと安野さんを心の中で応援しておりまして、実際投票権があったら石丸さんに投票していたと思うのですが、結果石丸さんは二位、安野さんは五位。残念ですけどお二人とも大健闘ですね。今後の活動に弾みがつくのではないかと思います。
私は東京という街は常々、居住環境が最悪だと思ってます。とにかくとにかく移動が大変で、家も狭いし空気も悪い。近年は年間の寒暖差が激しすぎてしんどい。不動産が高いので物価も高い。それもこれも人が集まりすぎなんです。いろんなものが集中しすぎです。
本音で言えばさっさと地方に移住したいわけですが、人モノが集中する東京には圧倒的に仕事があるので離れられない。川を越えて埼玉に引っ越すのがせいぜいです。
私、仕事で全国あちこち地方に行くことも多いですが、まあなんと素敵な土地ばかりであること。街はコンパクトだし家は広くて空気は綺麗。気候も良く物価も安い。だがしかし、人がいない。住みたい!と思っても仕事がない。なので、素敵な住環境で生活していくためには、東京と地方に偏りなく人が住んでいて、どこの地方もそれなりの規模で賑わってくれないといけないわけです。
ところが、例えば。
日本全国をあちこち移動してみると、日本という国の様々な移動ルートがいかに東京を中心に放射状に考えられてるかが実感できます。東京から地方へ。地方から東京へ。太い移動経路は東京と地方を点と点で結ぶだけのルートで、「交通の便が良い」という言葉は東京からのアクセスが良いという意味で使われていることが多いです。地方から地方の移動経路はびっくりするほど弱く細い。これでは地方が住みにくくなるのは当たり前で地方の繁栄などあり得ないです。
そんなわけで東京一極集中是正を「東京弱体化」という言葉で唱えていた石丸さんは非常に面白いと思っていました。地方の首長であった経験と人脈を活かし、東京がリーダーとなって東京一極集中是正する。面白いじゃないですか!ぜひやってもらいたい!!
以前石原慎太郎さんが都知事だった時、一極集中是正とかバカいうな、東京の人口を減らすと税収が減る、一極集中上等!みたいなことを言っていたのを絶望的な思いで聞いていたのですが、やっと逆のことを言ってくれる人が出てきた、と思いました。
そんなわけで石丸伸二さん支持だったんですが、都知事になれなかったですが、東京の一極集中是正は、また何かの形で継続してもらいたいです。
安野貴博さんも素晴らしいと思いました。政策の細やかさももちろんなんですが、何よりAIを使った民意の集約システムという発想とそれを実現する技術力が素晴らしい。そしてこの都知事選のために作ったシステムを全部無償公開するとか。この公僕精神たるや、素晴らしい。行政の非効率さとデジタル化の遅さに忸怩たる思いをいつも感じている身としては、都知事じゃなくても、何らかの形でブレーンとして都政に関わって欲しい、そう思います。小池さん、何かの役職で安野さんを雇ってもらえないでしょうか。
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他の候補について。
私3年前まで都民でしたので、小池都政も経験しているのですが、コロナ対策では大変お世話になりまして感謝しておりますが、他はそれと言って大きな印象はありません。元は国政進出の足掛かりとして都政にこられたような印象ですが、希望の党で失速して以来は、粛々と公務に勤しむという感じだったのでしょうか。特に大きな失政もなかったように思いますが、8年もいると若干腐敗臭がして参りました。外苑再開発のプロジェクト自体はいいんですけど、はてその開発利権はどのようにしてかの会社へ?プロジェクションマッピング?それは誰得・・???
長い間権力の座に固執すると良くないですね。小池さんも都知事になった年は、それまで都議会のドンと呼ばれていた内田茂議員を失脚に追い込んだりして痛快だったのですが、今度は小池さんが利権保持側に回ってしまっているなと。ということで交代が良いのではと思っていた次第です。
蓮舫さんは、国政代理戦を都知事選に持ち込もうとしてましたね。出馬表明のタイミングや当初の発言からそれは明らかだと思うのですが、その時点で生活に密着する自治体首長選挙としてはだいぶ筋違いだなと思っていました。理解はできます。東京を抑えれば国政に、政権交代に弾みが出ることは。でもそれが狙いだとはっきりしているところにおまけのように公約が出てきても、アンタそれ嘘じゃないにせよ本気でもないよね、という信用問題になるのは当然だと思うのです。永田町ばっかりみていて、渋滞のこととか本気で考えてくれるのかしらって感じです。あんた私の他に好きな人いるでしょ、じゃこっちこないで最初からそっち行きなさいよ。
田母神さんは、私、実はこの人の話大好きなんです。航空幕僚長として安全保障の第一線で活動してこられた人の話は現場を知る重みがあって面白い。この人がこの国の未来を憂いている気持ちも本当だろうと感じます。でもここは東京都で、私が気にしているのは住みやすいかどうかです。以下、蓮舫さんと一緒。
その他N国党絡みの人について。
わたし立花さんという人をちょっと見直しました。今回のこの状況で公職選挙法がたぶん見直されますよ。供託金の制度が変わるかもしれない。これを意図してなのか本当にやりたい放題したかっただけなのか本当のことはわかりませんが、とにかく日本の選挙制度の問題点を白日の下に晒し、制度の見直し議論への道筋を立てたことは確かです。正面からじゃなくてとんでもない変化球ですが、この人は選挙制度改革を成し遂げようとしている!!
それに私、どんな人だろうと、自由に出られるのが民主主義の正常な状態だと思うんですよね。ある程度の規制は必要だとは思いますが、可能な限り政治参加の自由は保障されるべきです。
ABEMA TVでやっていた泡沫候補と呼ばれる人たちの討論番組を見ましたが、その方達もその人なりに真剣な思いをもって立候補している人が多かった。中には非常にプライベートな理由や感情で立候補している人もいたけれど、それも人の思いであって東京というコミュニティの一部、政治の考慮されるべき一部だと思うのです。その自由がなくなった時点で民主主義は体幹を失い、実体がなくなっていくと思います。
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都知事選全般を通して、いろんなSNSやメディアに接して思うことは、やはりみんな、最終的には自分の好き嫌いで選びますよね。かくいう私もそうなんですけども。
嫌いな人はどんな立派でも嫌い。好きな人はどんな醜聞があっても好き。それは感情なのでそこに政治信条的な理由はないですね。だから批判となると感情的な人格批判や、確たる事実の裏付けのない陰謀論的なものになりやすいのでしょう。さらにそれが類友が集まりやすいSNSの中で起こると、もう蛸壺化してしまって外の世界の景色が全く見えていない罵詈雑言となって発信される。これが痛かったな。
また世代間の感覚の格差がだいぶ大きいことに気付かされました。
若い世代は、仕事の上でもプライベートでも上の世代に気を使い押さえ込まれることが多いから、石丸さんのように歯に絹着せぬ発言で上の世代や権益層をバッサバッサ切るキャラは痛快なんでしょう。
逆に上の世代はもうそんなガチンコ勝負を受けて立つ元気はないし笑、自分が築き上げたコミュニティの痛いところをはっきり指摘する人は敬遠される傾向にあるのかなと。やはり持たざるものは変革を望むので物言う人を支持するし、持つものは現状維持を望むので物言わぬ人を望みますね。これは致し方のないことですけど、問題は近年はメディアやツールの変化のスピードが早いからその格差、分断が結構大きいということでしょうか。異なる世代の感覚を理解できない、想像すらできないことが多くなっているように感じます。
またさらに思うのは、選挙戦や政治家の政治活動の真剣味を考えるに、やはり東京は、そして日本は豊かで平和です。
都知事なんてある程度の経験と能力のある人であれば誰がなっても都民の生活は回るんだろうと思います。それだけ政治に関係せず自分の経済活動を続けられるだけの豊かさが東京にはある。
それはとても良いことであるので、なんだかんだ問題の解決を望みながらも豊かさが失われることがないように願うばかりです。