渡辺えりさん作・演出、高畑淳子さんと渡辺えりさんの二人芝居「さるすべり」無事終演です。
劇中音楽の作曲と音楽監督、そして演奏者と今回は「流浪の民」としてセリフもいただき大役でありましたが、無事終えられてよかったです。
「さるすべり」は2020年コロナ禍のまっただなかに上演した作品の再演で、初演とは台本も大幅に手が加えられておりまして、音楽も初演から一新しました。
初演の時は一週間くらいの稽古期間で、よくわからないままの突貫工事の部分が多かったのですが、今回は初演に比べてると作品に向き合うことができたと思います。とはいえ時間のない中での制作であったことには変わりはないのですが・・・。
上演時間1時間半ほどで戯曲作品としては短めの方に入ると思いますが、内容は、私は渡辺えりという劇作家のこれまでのキャリアの集大成的な作品であったように感じております。これまで積み重ねてきた演劇人生を振り返りつつも、膨大な実績を惜しげもなくかなぐり捨てて演劇愛を語り、さらに脱皮して先へ進もうとする。今回もクリエイター・アーティストとして素晴らしい背中を見せていただきました。
今回の音楽は、作品が非常に多層的で象徴的なエピソードが多かったので、台本を読んでとっかかりになるモチーフを探し出すまで少し時間がかかってしまいました。モチーフを掴めればそこから先は楽なんですが、そこまでが大変。その結果出てきたさるすべりのテーマのメロディは、本音を言えばもう少し推敲したかったですが、面白いものが出来上がったと思っています。感覚的に作るばかりではなくメロディやハーモニーの細かい音程などに意味を持たせて組み合わせていくということが、少しできたところもあったかも。作品としてのアウトプットの出来はともかくプロセスとしては成果があったかなと思っています。
今回の公演は東京公演に加えて地方公演が七公演ありまして、いろんな街に連れて行っていただきました。だいたいが弾丸旅程ですので、ゆっくり街をめぐる時間もないのですが、それでもその中で出会いもあり、いろいろな方々によくしていただきまして感謝です。
どの街も印象的でしたが、特に両親の故郷であり私の出生地であります岡山県津山市で演奏できたことは本当に嬉しかったです。
会場の津山文化センターは父の実家の目の前で、小さな頃からおじいちゃんと一緒によく散歩していた界隈です。母方の島田家ついてはこのブログでは随分と紹介しました。(
https://yujik.exblog.jp/i8/)劇中、えりさんがバスガイドに扮してその土地の歴史を語るシーンがあるのですが、そこで島田家ともゆかりのある津山の森家の歴史が語られるのは感無量でした。面白いものですね。
津山では本当にいろんな方々に歓迎していただきまして、感謝です。このご縁をどうにかこの先に繋げていきたいと思います。
この公演が終わりまして、去年から続いていた過密スケジュールもひと段落です。
体を休めながら、なかなか進めることができずにいた自分のバンド・プロジェクトに取り掛かりたいと思っています。
またお知らせいたしますので、その時はどうぞよろしくお願いいたしますね。