萩市に着いて飲んで一泊、明けた朝はわりと早くから行動した。
朝9時ころから、世界遺産に登録されたという城下町を歩く。前の晩にno sideで出会った若者たちは生まれた時から見てきたせいか、世界遺産に登録される程でも…と謙遜というよりむしろ困惑気味の感情を持っているようだったが、道幅や建物など街丸ごとそのまま残っている景観保護地区の風情はとても美しく、なかなか見応えがあった。
城下町、萩城跡、松陰神社とひと通り見た後に、これまた前日no sideで聞いた萩の名物ジャズ喫茶、villegeに向かう。
よくわからないけど有名な人が出演しているっぽい、とno sideの若者たちは言っていたけれど、入ってみて納得。国内外を問わずジャズの巨匠達のvillegeでのライブ写真がズラリ。聞けば35年程前からマスターがミュージシャンを呼んでライブを企画しているのだとか。
ライブの他にもミュージックキャンプなどを企画しているという熱いマスターとあれこれ話をした。いつかライブが出来たらいいなと思う。
villegeを出て今度は秋芳洞に向かう。朝からどんより天気だったが、この辺から本格的に雲行き怪しくなり、小一時間ほど走って秋吉台周辺に着いた時は土砂降り。
カルスト台地をぐるりと回るドライブコースを走るのだが、途中から霧なのか雨なのか高原なのか道なのか何なのか、もう…涙
思えば四月に紀伊半島を旅した時もずっと雨だった。。ずっと気がつかないフリをしていたけれど、ぼちぼち自分が雨男であることを認めねばならないか…と恨めしい目で「カルスト台地展望台」の看板を見上げる。
とりあえず近くまで行ってみるが車の外に出るのも憚られる大雨のうえ、なんと傘が見当たらない。大阪に忘れてきたようだ。仕方なく断念。この時の周囲の視界、おそらく十数メートル。晴れればカルストを一望するいい眺めだろうが、今登ったってどうせ…、と若干スネ気味で車を秋芳洞に向ける。
カルスト台地が秋吉台で、そこにある洞窟の名前が秋芳洞。でっかい石灰岩一枚岩で出来ているという草原みたいな台地は、晴れればさぞかし眺めも良かったろうに…
こっちはメガネさえも曇って大変だよ。
秋芳洞は素晴らしかった。
正直こんなにデカイと思ってなかった。あんなデカイ空間、もう秘密基地にしか見えません。
水と岩石が作る自然の彫刻の美しさにため息つきながら歩く。そう、あれらは、自然にできたものなのだ!!全く恣意性がないところで作られたモノのなんと美しいこと。あれらはただそこにあり、結果としてあの形になり、また今もこれからも姿を変えつつある。
秋芳洞を出ると雨が上がっていた。どうやら大雨は一時的なものだったようだ。
高原では雨が降り、洞窟とか天候が関係ないところでは雨が止むという自分のタイミングの悪さを呪いながら、福岡へ向かう。
秋芳洞のある美祢市から九州の入り口の門司までは50kmもない。萩の若者たちも九州は近いと言っていた。こういう土地の心理的距離感は、行って見なければ、自分の足で歩いて見なければ、わからない。
あまりの美しさにため息が出る。
萩、美祢の町並みは赤い石州瓦。ここら辺も山陰文化圏なのだ。
松下村塾。ちっさい。