秋もだんだんと深まって来た感がありますが、未だに出会う、アイツ。
蚊。
刺されると痒い。痛いわけでもない。とくに致命傷になるわけでもない。ひたすら痒い。なんだよそのカユさは!!と思うんだけど実際痒いんだから仕方がない。
蚊も大変だなと思う。
基本的に彼らは、見つかったら終わりなわけだ。姿を捕捉されたら、あとは手のひらでパチンとやられるだけ。そこを逃げ切るすばしこいやつもたまにはいるが、たいてい我々が十分に迎撃できる体勢にある時は、やられてしまう。つまり、蚊がその生物的行動をコンプリートするためには、いかにして見つからずにターゲットに近づくか、それにかかっているわけだ。
さあしたらば蚊はどのようにしてそれをしているのか。やはり体の小ささ、目立ちにくさを活かしての、隠密行動、これだ。彼らの基本戦術はココにある。すーっと近づいてサクッと差してさっと逃げる。刺された事さえ気がつかせない。これが彼らの理想的な作戦の形で。おそらく8割方の蚊がこの作戦でその生物的行動をコンプリートさせているはずだ。
ところがこの隠密作戦のネックとなるのが、蚊の羽音。ぷ〜〜〜ん というヤツ。羽音は仕方ない。潜水艦のエンジン音みたいなもんで、どーしても鳴ってしまう。これが彼らの命取りになる時が多い。我々狙われる側が蚊の存在に気がつく原因の半分超えがこれじゃなかろうか。これが出てしまうと、ターゲット(我々)は積極的防衛行動にでる。つまり蚊を探して殺しにかかる。こうすると蚊としてはかなり不利な体勢になってしまう。
そこで彼らはどのような行動を取るべきか。それはやはり、弱点でもあるが、最高のアドバンテージでもある体の小ささを活かした機動性。ターゲット(我々)の周りを飛び回りの目を捲く作戦にでる。この飛び回り方がなかなか巧みなヤツがいる。かなり積極的に近づいて来てこちらを本気にさせては一度すっと離れて仕切り直しをする。それの繰り返し。この波状攻撃によってターゲット(我々)側は一度整えた迎撃態勢のペースをすっかり崩されてしまう場合が多い。
また体の小ささだけでなく、保護色というんだろうか、体の色が非常に彼らを見つけにくいものにしてくれる場合が多い。とくに野外では、いちど離れられたら再認識はある程度近づいてくるまで不可能だろう。これが室内だと、わざと白壁の方に追いやって目立たせてコースを先回りしてつぶす、という迎撃方法も取れるのだが・・。やはり野外では彼らに分がある。やはり野外は彼ら虫たちのテリトリーなのだ。
さてその波状攻撃も、そう長くは続けられない。時間が経てばターゲット側も目が慣れるからだ。ここで蚊は二択を迫られる。一撃必殺の賭けにでるか、ターゲットが油断するまで離れて待つか。この選択肢は、彼らがどれだけ切羽詰まっているか・・つまり腹が減っているのかということに寄る。賢い蚊であるならばここで待ちに出るのだろうが、たいていの蚊が、ここで目先の欲に負けて一撃必殺の賭けにでてくるような気がする。そこでパチンとやられてしまう。
ここで待ちに出られた場合、ターゲット側も蚊のことにいつまでも構ってられない。他にもやることがある。だからターゲットが蚊から意識が遠のいた時に、隠密作戦を仕切り直せばよいのだ。初回コンタクトに比べ警戒度は上がっているだろうが、ターゲットの集中力には波がある。切れた瞬間を狙えるという意味で、攻撃のタイミングも的を絞れるし、成功の確率も上がるだろう。
ただし、この待ち作戦もそう何回もは無理だ。そのうちターゲットは虫除けスプレー、蚊取り線香などの化学兵器を持ち出す可能性があり、そうなると蚊には100%勝ち目はない。だから仕切り直し作戦も2ターンまで、というところか。そうすると先に二択を迫られたときに一撃必殺の賭けにでてくる気持ちもわからんではないな。うむ。
当たり前だが、こんなことを書いているからと言って、蚊に有効な戦術を求めているわけでは全くない。そんな賢い蚊なんか出て来てもらっては断じて困る。
ということはこの考察は少なくとも僕にとってはなんの利益も意味もないわけだ。
隠密作戦が必要という点で潜水艦の戦術に通じるところでもあるのかも知れんと思って調べてみたけど、当然だけど潜水艦の戦術は複雑すぎて、しょせん蚊と比べるのには無理があった。
潜水艦に謝りたい。